音域

ミックスボイスの作り方とその後の練習方法

こんにちは、音博士(@otohakase1205)です。

音博士の研究所ではボイストレーニングを中心に、音楽のあらゆる知識・研究を紹介しています。

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「ミックスボイスってどうやるの?」というレベルの方が、練習する方向性とステップをまとめてあります。

「ずっとミックスボイスの練習してるのに上手くいかないのはなんで!?」という人は「独学でミックスボイスを学んでる人の9割が陥る失敗の原因と改善方法」が参考になるかもしれません。

ミックスボイスとは

「高い声」ではなく「質の高い声」

ミックスボイスとは、「高いレベルに作り込まれた歌声」です。

一般に「高い声=ミックスボイス」と間違えられることが多いですが、ここでは違います。

「高い声(裏声)が地声のよう」なのではなく、「低音が高音と同じ声質」と捉えるのがより正しい方法です。

僕が認識している正しいミックスボイスとは、「低音から高音まで全ての音域」で同じ声質を作り出すことです。

ミックスボイスのアーティスト

よく「ミックスボイス」として例に上がっているアーティストです。

夜に駆ける / 手越祐也

ナニヲナニヲ / Mrs.GREEN APPLE

話し声と歌声の違いに注目してください。

話し声と歌声の完成度に差があるのが「音域に関わらず低音から高音まで作り込んでいる」証拠です。

(確かこのとき17~18歳くらいなので、これだけでもすごいです。)

CORE PRIDE / UverWorld

声優のように話し声が安定してるのがわかるでしょうか。

正しい発声が習熟してくると話し声と歌声の差がなくなり、どちらも高く安定する傾向があります。

HAMO / 岩沢厚治(ゆず)

こちらは例外ですが、「高音はすごく安定してるのに、話し声と歌声に差がある」パターンです。

詳細は別の機会に記載しますが、「天然ミックスボイス」と呼ばれる「特殊な環境で育った」の人はこうなることがあります。

ミックスボイス声優

歌が専門ではないですが、「正しい発声」を究極まで極めたのが声優の方です。

声優の方は「正しい発声」で声が安定しているため、自然と「色々な高さの声を、同じような声質で」操ることができます。

山寺宏一さん

梶裕貴さん

花江夏樹さん

なぜ「ミックスボイス=高い声」と思われているのか

高音でも低音でも、綺麗な声を出すためには発声練習が必要です。

しかし人は成長する過程で「自然と声を出す技術」が身についているため、練習せずとも普通に声を出すことができてしまいます。

そのため、「いつも通りに出せない高い声だけ練習すればいいんだ」と思い込んでしまっています。

  • 声が枯れる
  • 綺麗な声が出せない
  • 声が裏返る

など、正しく声が出ていれば発生しない悩みが発生していました。

そこで音博士の研究所では、「高い声」を手に入れる前に「楽に出せる高さで、確実に質の高い歌声を出す」練習から始めていきます。

ミックスボイスの作り方

原則として、2段階の練習を繰り返します。

  1. 「出来ない」を「頑張ったら出来る」へ
  2. 「頑張ったら出来る」を「頑張らなくてもできる」へ

「頑張ったら出来る」を経由せずに「頑張らなくても出来る」が発動することは無いと思って下さい。

「高いミックスボイスを自由自在に操る」ためには、必ず「低いミックスボイス」を扱えるようになることが必須です。

もし「これが出来ない」という状況が発生した場合、ちょっと戻って「どこまでなら、どのくらいの労力で出来るのか」を確認するようにしてください。

※ここでは「ミックスボイス=歌声」として定義しています。
「高いからミックスボイス」ではなく、「声質が歌声だからミックスボイス」という認識で読み進めてください。

「高音を強化する」のは効率が悪すぎる

ミックスボイスを身につけるためには「まず低音から作り直す」必要があります。

「裏声を強くして地声みたいにしよう」とか「換声点を消そう」だとか、このような練習は「高音」にしかアプローチできないため、正直かなり効率が悪いです。

すでに練習したのにうまくいってない」という人は、こちらをご確認ください。

「低音の強化」を忘れるとどんなミックスボイスになるのか

「高音だけを練習したミックスボイス」でも、高音を綺麗に出すのは可能です。

ただその場合「高音はすごくクオリティが高いのに、低音が下手」という印象を与えてしまう可能性が高いです。

カタオモイ / 天月

この方が「表現として低音の息漏れを作っている」のか、それとも「高音と同じようにしっかり息を吐くとこうなってしまう」のか、それはわかりません。

ただ練習が足りなかったり、あまり発声に詳しくない人が「かっこいい声」を出そうとすると、自然と息漏れのある低音(いわゆる吐息厨)になりがちです。

自由に歌うためには「低音・高音に関わらず自由に声質を調整できる」ことは必須なので、低音もしっかり練習することをオススメします。

ステップ①「歌に最適な発声」を使えるようにする

まずは「綺麗な低音」を出せるようになりましょう。

「普段の話し声」と「綺麗な高音」を結びつけることは、ほとんど不可能です。

「ウィスパーボイス」とも呼びますが、参考動画のような「ひそひそ声」を出せるようになればOKです。

日本語は発声の特性上、「少ない息で効率よく発音する」ことが得意です。
息を使わないように、声帯が頑張ってくれる状態ですね。

しかし歌では「話す」だけでなく「音程をとる」「息遣いを変える」などたくさんの作業が必要になるため、声帯の仕事量が爆発的に増えてしまいます。

声帯はちょっとバランスが崩れるだけで声が枯れたり喉が痛くなったりする、デリケートな筋肉です。

できるだけ声帯の仕事を減らすために、歌に最適な発声方法を身につけましょう。

必要なのは「声の強さを息の量で決定する作業」で、一言で言ってしまうと腹式呼吸なのですが、「ため息に声をのせて喋る」のが効率的な練習です。

ステップ②「地声でファルセット」を作り出す

ステップ①でため息に声を乗せる技術を得たら、次はクオリティを上げて、ファルセットを作り出します。

ファルセットとは、息漏れのある裏声です。
僕は吐息厨と呼んでいます。

「息漏れがあるが、ひそひそ声よりも音が出てる」という状況を目指して下さい。

この話し方を頑張らずに扱えるようになった時、息で声を支える感覚が身に付きます。

感覚としては、「ため息ってほどハァハァしてないけど、普通に話すよりはハァハァしてる」という感じです。

ちなみにこの練習を後輩の女の子に伝えたところ、「は?エッチな声出させようとしてない?」と言われたことがあります。

気をつけてください。

ステップ③「地声のファルセット」と「裏声のファルセット」を同じ声にする

ステップ②である程度自由に話せるようになったら、ここで初めて裏声にアプローチします。

「裏声のファルセット」と「地声のファルセット」が同じ音になるように、声質のバランスを調整してください。

最初は焦らず、

「楽な高さの地声ファルセットを裏声ファルセットに近づける」
「楽な高さの裏声ファルセットを地声ファルセットに近づける」

無理なものは無理なので、余計に音域を広げたりせず、この2軸で練習してください。

この時点では、「地声ファルセットが正解」でも「裏声ファルセットが正解」でもありません。

どちらかに近づけるのではなく、両方が両方に近づくように練習してください。

ステップ④「地声の低音」から「裏声の高音」まで、全てを同じ「歌声」で出せるようにする

ステップ③で「低音も高音も同じ声質」が完成したら、次は全ての音域を同じように扱えるレベルまで練習します。

歌の練習はもちろん、日常会話で練習しても構いません。

とにかく「同じ声質を作るのを頑張る」レベルから、「何も頑張らなくても、自然と同じ声質で歌える」状況を目指してください。

僕は「中音域を多用するゆっくりめの曲」をオススメしています。

ステップ⑤「歌声の声質」を好きな声質に変更する

同じ声で低音から高音まで扱えるようになったら、続いて「良い声」を作る作業に入ります。

今までの「息漏れのある声」は、「どの高さでも、自然と正しい発声を使いこなすための練習」です。

ここからは、「今までの声の出し方のまま好みの声に寄せる」作業を行います。

喉で音の強さを調整せず、息を吐く強さで音の強さを変更してください。
声帯はトンネルのようなものなので、息の強さによって息漏れを増やしたり減らしたりすることができます。

まずは声帯を極力動かさず、吐息を増やして息漏れを減らしてください。
慣れてきたら、それまでの話し方のように声帯を動かして息の絶対量を変更することができます。

これも、「一番得意な高さの声」から行ってください。
大抵の人は、話し声に近い低音〜中音がベストです。

このくらい伸びやかにハリのある音が出せたらバッチリです。

ここで完成する歌い方が、あなたの正しい歌声です。

ステップ⑥「低音から高音」まで、全てを「好きな声質」で扱えるようにする

正しい歌声ができたら、最後に「正しい歌声」の音域を広げます。

ステップ⑤で作成した渾身の歌声を、あらゆる音域で自然と使えるようになりましょう。

これによって「低音と高音が同じような声」になります。

これも練習する際には得意な音域からです。
辛いと感じる高さがあればバランスが崩れている証拠なので、「辛くない、少し辛い」くらいの音域へ戻って練習してください。

ステップ⑤の音域を地道に広げれば、理想の歌声(に限りなく近い声)が完成します。

注意事項

個人の癖はリセットできない

上記のステップは、あくまで必要な成長ステップをまとめただけです。

ほとんどの人には「発声の癖」や「得意な音域・出し方」があるため、このステップで成長できない可能性が高いです。

正しく癖を取り消さなければ、ステップ①の「最適な発声を獲得する」ところで失敗してしまう可能性も十分にありますし、間違った変化を「正しい成長」と認識してさらに失敗してしまう可能性も高いです。

「出来ない」が「出来る」に変わるだけ

仮にこれで高音が出せるようになったとしても、あくまで「できない」が「できる」になるだけです。

「何時間でも歌える!」とか、
「どんな高い声も出せる!」とか、
「もう基礎練習しなくていいんだ!」

のように進化するわけではないので、それまでのような無茶な歌い方をしては必ずバランスを崩すのでご注意ください。

一度崩れたバランスを直すのは大変です。

「力を入れても高い声出るんだ!」と学んでしまえば、自然と力を入れて高い声を出してしまいますし、そうなるとまた変な癖がついてしまいます。

最後に

必要な練習は、現在の状況によって大きく異なります。
練習は自己責任で、ご自身の状況を観察しながら行ってください。

正直この記事を参考に、独学で高い声が扱えるようになる可能性は非常に低いと思っています。

練習は無理のない範囲で、おかしいと思った際には研究サロンへの相談をご検討ください。

ABOUT ME
音博士
1996年12月5日生まれ。 3歳からYAMAHAに通い絶対音感を取得。 高校生の頃から絶対音感の構造を考えており、大学生の時に友人と絶対音感を取得する方法を確立。 2020年に自身の研究所を立ち上げる。
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音博士
石原光貴
3歳からYAMAHA音楽教室にて音楽を始める。 高校生の頃から自分・友人の体を使って構造的に発声理論を研究。 大学入学と同時に絶対音感の研究を始め、「絶対音感の作り方」を作成。 20歳よりボイストレーナーとして活動している。
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