こんにちは、音博士(@otohakase1205)です。
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音痴は遺伝しません。
数十年ほど前までは 「うちは代々音痴の家系だから」「音痴は遺伝だから治らない」と言われることがあったようですが、音痴は遺伝せず環境によって作り上げられます。
そして脳や身体に先天的な障害がない限り、ほとんどの音痴は克服できます。
音痴は遺伝しない
生まれた時から「音程を判別するものさし」を持っている
音痴自体は遺伝しませんが、子どもの音痴の多くは親が原因になっていることも事実です。
基本的に人間の頭の中には「高い・低い」を区別するための”ものさし”があります。
正常に発達が進んでいる子どもの場合、胎生4週目あたりから耳の一部が形成され始め、「胎生20週を過ぎる頃には、機能的にも音刺激を受容できる状態になります。
さらに「出生児には成人同様の聴覚機能を備えている」とされており、「4歳ごろには音を認識して判別することができるようになる」と言われています。
つまり先天的疾患でもない限り、生まれてきた時点で誰もが「音の高い・低いを区別するための土台」を持っています。
世の中にある様々な音(高い音・低い音など)を理解できる人なら、全員が持っています。
音の少ない環境で育つと、音痴になりやすい
聴覚の臨界期は2~5歳
臨界期とは、生まれ持った機能が大きく成長する時期です。
脳はこの期間に、覚えたり感じたりする神経回路(ニューロン)が、外からの刺激により集中的に作られたり、回路の組み替えが盛んに行われます。
学習を成立させる最も感性豊かな限られた時期でもあります。
「臨界期」までに一度も使われなかった脳細胞は一生必要ないと判断され、臨界期を越えた時点から消滅していく運命となるという情報もあるようです。
臨界期に音に触れない場合、音感は成長しない
一般的な家庭なら、家で生活しているだけでたくさんの音を聴く機会があります。
テレビやCD(現代ならサブスク?)などで、日常では全く触れないような音にたくさん触れることで、「高い・低い」意外にも様々な違いを感じ取れるようになります。
ところがこれが超教育熱心な家庭で「テレビ禁止、暇さえあれば勉強、保育園にも行かないでママとパパの声しか聞けない」ような生活で育ってしまうと、
同じ5歳でも、聴覚から得られる情報は全く別物になります。
こうして音を聞き取る感性が育たない子供は、音を判別できないから自分でも音程をコントロールすることができず、「音痴」と呼ばれてしまうことになります。
親が”音痴のものさし”で音を伝えてしまった
音痴な親が子守唄や手遊び歌などを歌った場合、ほぼ間違いなく「親が持っている音程のものさし」を基準に音程が決まります。
親が音痴であれば子守唄も当然音痴になってしまうのですが、子供は「どれが正しい音程なのか」は理解できないので、「音痴なものさし」が正解として頭の中に組み込まれてしまう可能性があります。
もちろんこの場合も狂った音程が頭の中に刷り込まれてしまうため、「音痴」と呼ばれてしまうことになります。
子供を音痴にしない対策と方法
子供を音痴にしないためには、できるだけ「正しい音程」で「正しい音程を話す練習」が必要です。
できるだけ色々な音に触れされる
できるだけ多くの音に触れされ、「聞き分けるのが当たり前」の環境を作りましょう。
理想は楽器の音を直接聴くことですが、クラシックの曲やジャズ、ゴスペルのようにたくさんの音が鳴っているものもおすすめです。
できるだけ「両親の声だけ」など狭い世界で完結しないように、ジャンルを問わずたくさんの音を聞かせてあげてください。
歌は必ず正しい音源と一緒に歌う
瞬間的に用意するのは難しいことも多いですが、自分の歌に自信がない場合はできるだけお手本を流すようにしてください。
子どもの学習速度は非常に早いので、しっかりお手本だけを聴いていれば、すぐにご両親よりも精度の高い音感で歌うようになります。
子どもが自分の音感にはっきり自信を持てるまで、不安定な音程を聞かせるのはできるだけ避けましょう。
(どうしても一緒に歌う必要があるなら、大きめの音でお手本の歌を流し、ご両親自身が間違える確率を減らしてください。)
すでに音痴になってしまった場合の対処
記事の都合上ここでは詳細に取り上げませんが、すでに音痴が染み付いてしまって簡単に矯正ができない場合でも、矯正する方法はあります。
「音感の矯正方法」はこちらに記載してあります。
また「音痴」カテゴリでも、音痴に関する情報はまとめてあります。
また音博士の研究サロンでは、実際に今悩みが発生している方が集まって練習方法や進捗を共有しています。
ご興味のある方はこちらからご覧ください。
まとめ
※臨界期に関して
記事内で臨界期を取り上げましたが、私自身は臨界期をあまり信じていません。
臨界期を過ぎた年齢でも絶対音感を取得したり、鋭い音感を身につけている人はたくさんいます。
理論や練習方法に大きく依存する可能性がありますので、年齢で諦める前にご自身で調査されるか研究所までご連絡ください。
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