こんにちは、音博士(@otohakase1205)です。
研究サロンへのご加入はこちらから。
本日は自宅でできる、声を出さない鼻腔共鳴の確認方法を記載しております。
考案者は私、根拠も私です。
2020年4月2日現在、巷ではコロナウイルスが大流行しています。羨ましいですね。そのくらいの知名度が僕も欲しいです。
ボイトレなんてしてる場合ではないので、僕は対面レッスンを全て中止しております。とても困りますね。収益ダウンがとんでもないことになっています。僕の生活よ。
ここで僕の生活を助けて欲しいなんて思ってくださった方はこのほしい物リストから是非プレゼントをください。僕が欲しいビールとかお菓子を入れておきました。無くても生活には困っておりません。
鼻腔共鳴ってなに?
鼻腔共鳴、意味がわからない言葉ですね。ネット上などで解説されるときもびっくりするくらい適当な説明をされています。
ここで完璧な説明をしておりますが、これを受けて「あそこのトレーナーは嘘をついていたんだ!」とかyoutubeにコメントしに行くのはご遠慮ください。僕も言いたいけど我慢してます。
・鼻(はな)という器官
「鼻腔」ですが、「鼻」「腔」で分けて考えましょう。鼻とはそのまんま、鼻です。
ご存知ない方のために画像を用意いたしました。これですね。
これでもわからんという方は鏡でご自身の顔を眺めてください。
真ん中にあるやつが鼻です。
・腔(こう・くう)という器官
「腔」と書いて「こう」や「くう」と読み、中空(ちゅうくう)という意味があります。
(書くときは「こう」と書くのですが、読むときは「くう」と読む習わしがあるそうです。なんでやねんって感じですね。)
中空といのは、「中が空っぽ」という意味です。
ちなみに「腔」の漢字の部首は「にくづき」です。
「肉がついている場所を表す漢字で使う部首」です。人間の体には腔という場所が大量にありますが、長いので折り畳みました。興味のある人だけご覧ください。
空っぽは全て「腔」と呼ばれる
人間の体には大量の「腔」があります。解剖学とか医療入門とか、そのあたりの本を読んだことがある人は絶対見たことあると思うんですが、人間の体には大量の「腔」があります。
鼻腔(びくう)とか体腔(たいくう)頭蓋腔(ずがいくう)とか、それはもう大量にあります。
- 体腔
- 背側腔
- 腹側腔
- 頭蓋腔
- 胸腔
- 腹骨盤腔
などなど、その他に鼻腔やら管腔なんてものもあります。すごいあります。
腔は「中が空っぽ」ですが、
「中に何も入っていない」ということでもありません。
ややこしいことですね。
大抵、腔の中には何かが入っています。何かが入るための空っぽです。
腔 | 場所 | 中身 |
---|---|---|
頭蓋腔 | 頭蓋骨の中 | 脳みそ |
鼻腔 | 鼻の奥 | 鼻水が溜まる場所 |
体腔 | 頭部・体幹 | 内臓を収納している |
胸腔 | 肋骨の中・横隔膜の上 | 肺・心臓などの臓器 |
こんな感じで、腔には何かが入っています。そのための空っぽです。
今回は鼻腔についてなので、鼻腔についてを掘り下げて鼻腔共鳴がどんな構造なのかまとめました。
鼻腔共鳴の仕組み
・鼻腔に共鳴させる
鼻腔とは鼻にある腔、つまり鼻の穴です。
人体的に鼻腔の本来の役割は、「加湿・除湿・ウイルスの除去」などです。
全部鼻の穴がやってることですね。
「鼻腔に響かせる」とは、つまり鼻から音が出るということです。
・倍音を共鳴させて増幅させる
「共鳴」とは、Aで発した音を感じたBが「俺もその音出したい!」みたいになって音を出し、複数の場所から同じ音が発信される現象です。
イメージはピアノやオルゴールやアコースティックギターですね。音を鳴らすシステムは小さくても、発生した音を増幅する仕組みがあれば大きな音を作り出せます。
実験動画を用意したんですが、あんまり面白くないかもしれないので折り畳みました。ご興味のある方だけご覧いただけたらと思います。
オルゴールの共鳴の様子
動画(完成次第リンクが繋がります。)
動画の中でも説明していますが、これはオルゴールの外装を取り外して音が増幅する仕組みだけを取り出したものです。オルゴールは共鳴するものが無いと、小さな金属板を弾いた時の「ピンッ」みたいな音だけになります。
この動画で共鳴にギターのボディーを使っていますが、本来の高いオルゴールなんかは「共鳴箱」という共鳴する専用の箱があり、その上に乗せて鳴らすとめちゃくちゃ綺麗に音がなります。
手頃な値段のオルゴールにも、デフォルトで小さな箱が下についています。これが共鳴箱の役割を担っています。
人間なら「声帯原音」というやつがオルゴールの「ピンッ」に当たります。声帯に息が通るときに振動して声帯原音という小さな音を作り、体が増幅して声となり口から出て行きます。
このとき増幅するのは、倍音という要素です。
「倍音」という声の要素
胡散臭くてよくわからないことで有名な倍音ですね。
超絶ざっくり倍音を説明すると、「あー」と100Hzの声を出したとき、その声には200Hzの音や300Hzの音や400Hzなど、出した音の「n倍」になる音が同時に鳴っています。
声帯が音を鳴らしたときに、体が共鳴していろんな音を出すって感じですね。
ちなみにWikipediaには
2以上の整数倍の周波数を持つ音の成分
wikipediaより引用。
と書かれているんですが、これを独自解釈して「倍音は2倍、4倍、8倍のように偶数倍で鳴っている」と主張する某トレーナーやネット記事がありますが、めちゃめちゃ嘘でございます。(「オクターブで鳴ってる」という主張ですが、世の中には噪音という概念があるのをご存知ないのでしょう。)
倍音を計測すると一定の間隔で鳴っています(グラフ参照)。
ちなみにこれは200Hz前後くらいの声を出しました。(絶対音感はこんな時しか役立ちません。)
この倍音というシステムに関する説明は仕組みのページでやります。完成次第リンクが繋がりますのでお待ちください。
鼻から息が吐けたら鼻腔共鳴成功
・鼻腔共鳴の確認方法
「鼻腔から音が出る」ためには、鼻腔に音が届いている必要があります。
ここで「音ってなんだっけ?」まで遡ると、音は息で構成された振動でした。なので、鼻腔から音が出るためには鼻腔まで息が届いていなければいけないということになります。これ必然ですね。
声を出している時に鼻から息が吐けていたら、
それが鼻腔共鳴を使った声です。
鼻腔共鳴が全くできない人は聞けばすぐわかります。鼻づまりの声になってますからね。
「あー」ってやりながら鼻のところに手を当てると、息が出てるのがわかるかと思います。これが鼻腔共鳴です。
鼻腔共鳴の練習・改善方法はこちらをご覧ください。
(※完成次第リンクが繋がります。)
・低音と高音で共鳴の度合いが変化する
高音が欲しい人が大半
まあ90%くらいの人が「高音が欲しい!」と思って調べ始めたんだと思います。
なぜ高音で鼻腔共鳴なんてキーワードが突然出てくるかというと、「無理やり高い声を出すのに夢中になってる人は、吐く息の量をどんどん減らす」という傾向があるからです。(ちなみに吐く息を減らさずに無理やり息を吐いてる人は喉絞めと呼ばれる出し方です。これもダメです。)
低音では当たり前にできていた鼻腔共鳴が、高い音になるにつれてどんどん吐けなくなっていくわけですね。
鼻に手を当てながら「あー」って少しずつ音を高くしていくと、どこからか突然鼻から息が出なくなる高さがあります。高音で悩んでる人の9割くらいはあります。
これを改善しましょう。鼻腔共鳴の改善方法はこちらをご覧ください。
URL(完成次第リンクが繋がります。)
ちなみに、倍音について説明しましたが忘れても大丈夫です。倍音はボイトレに置いてほとんど必要がない概念です。
こういうのは分析に使うので、練習するのは全然効率よくありません(狙って改善する方法もありますが)。
まとめ
ボイトレは細かい現象やキーワードを追求する(ミクロ視点)のも結構なことですが、それだけではつながりが全然見えなくなります。
「鼻腔共鳴ってなに?」から一つ一つのキーワードまでさかのぼった時、最後にちゃんと鼻腔共鳴に帰ってきて「息を吐くってことか」まで至らないと永久に迷子になります。
「迷路の出口がなかった時に入り口まで帰る」みたいな感じですね。
音博士の研究サロン
「正しい情報さえあれば、一人でも練習を続けられる」という人向けの有料サロンを開設いたしました。
今の自分に必要な知識・欠点や最適な練習方法を受け取ることができます。
対面でのレッスンやトレーニングではなく、情報やコンサルティングのみを行っています。
[…] 鼻腔共鳴という謎ワードがボイトレ業界で流行しています。先日「鼻腔共鳴ってなに?」を書いたんですが、ここでは具体的な鼻腔共鳴のやり方に焦点を当ててお話しします。 […]