こんにちは、音博士(@otohakase1205)です。
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男性は大抵高い声が大好きで、ほとんどの人がミックスボイスで高い声を出したい!と思っていることでしょう。
そのため、練習しなくても高い声が出る、いわゆる天然ミックスボイスの人は憧れの対象として見られることがよくあります。
本日はそんな天然ミックスボイスの誤解について書きました。
天然ミックスボイスの作り方はこちらから。
天然ミックスボイスの誤解
・天然ミックスは生まれつきの才能?
よくネット上では生まれつきの才能として言われています。似たようなもので「絶対音感は生まれつきの才能」という説もありますが、断言できます。
真っ赤な嘘でございます。
詳細は「天然ミックスボイスの作り方」に記載してありますが、天然ミックスボイスは変声期に叫んでいれば誰でも手に入れることができます。
才能なんて全く関係ありませんし、なんなら重要なのは環境です。
・天然ミックスボイスは本当に珍しい?
「練習しなくても高音が出る。そんな特別な存在が当たり前に存在しているわけがない」という主張の記事や投稿はたくさん存在します。
とある文献や資料によると、「1000人に1人くらいの割合で天然ミックスボイスが誕生する」と記載されていました。
真っ赤な嘘でございます。
天然ミックスボイスはたくさんいます。
具体的なデータはありませんが、トレーナーをやっている僕の感覚では10人に1人くらいでもおかしくないと思っています。
ネットでボイトレ情報を見ている人はご存知かと思いますが、ボイトレの世界で使われている専門用語の定義の曖昧さはとんでもないです。
「腹式呼吸」のように、超メジャーで色々な分野で使われている言葉でさえ多くの解釈が存在しています。
どこの誰が決めたかもわからない定義の「天然ミックスボイス」で取られたデータなんてあてにならない、ということをここに宣言しておきたいと思います。
論文などで信用できそうなデータがある場合はもちろん違います。
「〇〇の定義で調べたところ、該当する条件が◇%でした」みたいなデータは、その条件下でなら信用できると思います。
論文を盲信する人も多いですが、「どの条件下で」「どんな仮説で」検証されたデータかによって適用できる条件は全然違いますので、それがそのままボイトレの信ぴょう性につながるわけでありません。
「めちゃくちゃ酸素の少ない山の上で計測したデータで、渋谷のカラオケで行う練習方法を考案する」みたいな感じです。参考にできないデータを勝手に参考にしてる資料もあるので、お気をつけください。
(そして論文だっておかしなものはザラにあります。)
天然ミックスは歌唱において有利?
よく言われますね。
「天然ミックスボイスは高い声が出るから有利だ。」というのはあらゆるところで見る情報ですし、誰もが思いつくメリットです。
真っ赤な嘘でございます。
なんか正しそうな気がしますが、「女性は声が高いから高い曲が有利、男性は声が低いから低い曲が有利」みたいなものです。
「音域勝負」や「高い声を出す」というだけも勝負であればそれは大きなメリットですが、歌において重要なのは歌唱力です。「高い声が出る=歌がうまい」と評価してるのは高音厨だけで、それだけで世の中が評価されるなら世のアーティストは全員高音厨だけになっています。
そんなものレコード会社は出しません。ごく一部の人しか興味がないからです。
百歩譲って高い曲を自分のレパートリーとして練習することができるのはメリットかもしれませんが、キーを変えてしまえば解決します。
ここで「低音域が足りないから高音が必要…」と思ってしまう人は、自分が得意な低音を伸ばさずに高音にこだわろうとしてる時点で間違えてると思ってください。
高いことに価値を感じるようになったら、それは音楽を正しく評価していません。
それはよくドラマとかに出てくる「音楽を食い物にしてる!俺たちはビジネスで音楽をやってるんじゃない!」って言われてるビジネスの人と同じ思考回路です。
・天然ミックスボイスの見つけ方
「こいつ天然ミックスボイスやろ!」と判断するポイントはたくさんありますが、ここでは僕が学生時代に使っていた天然の見つけ方をご紹介します。
これはただの自慢なのですが、僕は絶対音感があります。

ぴっかっちゅう?
ああ、「mid2C#」「hiD」「mid2E」ね。
こんなことが日常茶飯事です。
(ここで僕のことをすごいと思った人は、僕のyoutubeを登録してTwitterをフォローして、オンラインサロンへの加入を決めてください。ありがとうございます。)
こんなことを毎日やっているので、ネット上で「hiCはミックスボイスが使えないと絶対出せない。練習しないで出せるのは天然だけ」とか言われても困っちゃうわけですね。

あそこの野球部、さっき「ナイスボール」ってhiCで叫んでましたよ。
とか毎日感じていました。なので、「天然ミックスボイ=天才」として考えてしまうと、

この学校の野球部に1000人に1人の天然ミックスボイスが10人もいるだと!?
30人中10人が1000人に1人の天才だったとは…!!軽音楽部作っちゃお。
となってしまうわけですね。そんなわけありません。
とはいえ当時の僕には「練習しなくても高い声が出せる=天然ミックスボイス」という知識しかなかったので、「じゃあ天然ミックスボイスが1000人に1人の天才ってのが嘘なんだ!」と言う結論に至りました。
皆様も天然ミックスボイスを発掘したいときは、是非野球部の声の高さをチェックしてみてください。
・なぜ天然ミックスボイスは野球部に多いのか
天然ミックスボイスは中学校で野球部だった人に多いです。
僕も中学校で野球部だったんですが、野球部って意味もなく叫びまくる部活なんですね。
何言ってるのかわかんない返事に号令、「先輩に倣ってとりあえずそれっぽい声出しとけ」みたいな風潮があります。いや知りませんが、僕は勝手にそう思ってました。
そして部員全員が坊主になるような、体育会系で厳しめの部活です。

あの、ちょっと声変わり入ってきて声出ないんで…。
なんて理由で声を出さないのが許させることもなく、「そこぉー!声出てないぞ!!グラウンド10周!!」みたいなことがざらにあるわけですね。
頑張って叫ばなきゃ!!と努力した結果、見事に天然ミックスの作り方を踏襲する形となり、高校生になる頃には天然のミックスボイスが完成しています。
大学でウェイウェイしてるカラオケなんかで、「あの陽キャはなんで粉雪歌えるんだよ。普通あんな高い声出ないだろうが…。」みたいなことあると思いますが、これがその理由です。
まとめ
最近は高いことが評価される時代になってきてますよね。その背景には音楽がめちゃめちゃ発展して、誰でも歌える世界になったことが挙げられます。
みんな、「なにが良いか」を言語化できないのに歌ってるからこそ、わかりやすい高い音に惹かれてしまうのかもしれませんね。
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[…] 呼吸は肺ではなく、肺の周りの隙間を動かすことで肺に働きかけています。肺には筋肉がないため、自分の力で伸び縮みすることができません。腹式呼吸では横隔膜を上下させることで肺と横隔膜の隙間の気圧を調整し、肺を伸び縮みさせています。 【エネルギー効率】腹式呼吸と胸式呼吸ではなにが違うの?って話 【すごくない】誤解だらけの天然ミックスボイス […]